あくびのこと(28)岐阜大学動物病院

あくびが居なくなってから、初めて闘病中の写真や動画を見ています。あの時の気持ちが昨日の事のように蘇って辛くなりますが、それでも振り返るとあくびが身近に感じられるのは嬉しい事です。

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岐阜大学へ行く前夜・・・ビビも見守ってくれています^^

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一番乗りで到着。良い天気です!

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この時は、まだ目付きもしっかりしていますが、何度も吐いてヨダレはバスタオルでないと取り切れない程出てきます。太くて長いヨダレになってきて、吐く時は体の奥の方から何とも言えない声を絞り出していました。

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口風船^^;

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診察前のあくびです。

ポポと岐阜大学に来た時は写真を撮る余裕はなかったようです。1枚も見つかりません。気持ちの上では、あくびの方が切迫しているはずなのに“必死で”撮っていました。

 

診察の時の事を話します・・・

 

腫瘍科の穏やかな男の先生に勉強されている学生さんが2名。挨拶も程々に「すみません・・・」と言いながら、床に付いたあくびのヨダレを掃除するのに一生懸命な私でした。

検査結果はもちろん伝わっています。どういう検査をされるか説明を受けている時に「転移」という言葉が出ました。「転移していないかどうか?」・・・この言葉で『癌』という言葉が頭の中を駆け巡りました。

 

でも、掛かり付けの病院で言われた「全層摘出」の手術は「しない方が良い」と言われました。「多分、今のあくびちゃんには耐えられないでしょう」・・・この言葉を聞いて『大学に来て良かった』と思いました!

 

「CTがあるので、まずそれで診てみます。内視鏡検査ももう一度するかもしれません。内視鏡検査でも、やり方によっては胃壁の奥の組織を採る事も可能」と説明を受けて、やはり一般病院とは設備も技術も違うのだと改めて思いました。ポポの手術の時にも感じた事です。術後の傷痕を見た掛かり付けの先生が「とても綺麗」と言われていたのを思い出します。難しい症状の子達が集まってくる訳ですから、経験も蓄積されているのでしょう!

 

脱線します・・・今の猫の掛かり付けの病院は設備が新しい訳でもないのですが、信頼できる先生が居られます。料金はとても良心的でお客様もとても多い病院です。(わかる人にはすぐにわかります)診察も丁寧で「利益優先」という感じは全くありません。逆に『この料金で経営は大丈夫なのかな?』と心配する位です^^;

いざとなったら「岐阜大学動物病院」をお願いするという気持ちもあるのも、安心材料になっています。

 

ここでも聞きました・・・「軽度の胃炎という事はあり得るのでしょうか?」

「あり得ます。」と言って頂きました。

あとは、信じて待つだけです。 

そして、あくびに「頑張れ!」と声を掛けて先生にお預けしました。人が大好きなあくびなので、動物好きなスタッフの方々に囲まれているのは“嫌な”空間ではなかったのではないかと想像します。

 

朝一番で診て頂いて、検査が終わるのは午後です。その間、何も手に付きません。

祈っていました。無事に検査が終わって、良い報告が聞けますように!

 

そして、いよいよ検査結果の報告を聞く時がやって来ました。不安で不安でたまりませんでした。

 

CTの写真がセットされていて、静かに説明が始まります・・・。

あくびの体の胃の部分や背中の方に点々と白い物が写っていました。

そして、また「転移」という言葉が出て・・・「軽度の胃炎」なんて夢物語に過ぎませんでした。組織検査をしなくてもCTで末期の癌だと確定できるほどの状態でした。胃壁は分厚くなっていて、素人の私が見ても『これでは何も食べられない』と想像できる状態でした。この胃に“薬を押し込もうとしていた”なんて、ひどい事をしました・・・『ごめん』

 

「全身に転移している」・・・涙が溢れてきて『あくびが死んでしまう』という現実が襲って来ました。

 

『あと、どれ位』・・・「この状態だと1ヶ月とは言えません。週単位・・・」

『いつ頃から?』・・・「わかりませんが、夏頃にはもう・・・」

 

「組織検査の結果が出たら、掛かり付けの病院へ送る」と言われましたが、私も欲しいと希望すると、1週間位あとだったと思いますが、わざわざ先生から電話を戴きました。その時「未分化癌」という説明を聞きましたが、意味がわかるはずもなく・・・一通り説明を聞いたあとで『実はもうあくびは亡くなりました』とお伝えしなければなりませんでした。

 

診察の時、先生から「あくびちゃんのQOLを高める事に専念されたら?」というご提案を頂いて、その方法も教えて頂けた事は良かったと思います。

  • 大学に来る前に行った「体内の電解質の補正の点滴」
  • ヨダレを止める薬&注射は処方して頂いていましたが、ヨダレの元になる「胃液の分泌自体を抑える薬」の方があくびちゃんには良いのではないか?(もう食べられないから、胃液の分泌が減っても影響はない)

 

診察が終わり料金をお支払いして、今日出来たばかりの「あくびの診察カード」をもらいました。受付の方が「今度来られる時は、このカードをお持ち下さい」と説明されましたが、『もう来る事はないよ』と心の中で想っていました。この時だけは『もう少し配慮してもらえないかな?』と考えましたが、たくさんの方が来られるので難しいのでしょう・・・。

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病院からの帰り道、疲れて寝ているあくびです。「眠れている」という事だけで、少し安心できる状態でした。多分、熟睡は出来なかったと思うけど・・・。

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家に着くと、それでも安心はしてくれたようです^^

通院した日から、あくびとの最期の旅行の日まで仕事はありました。もう既に新しい依頼は受け付けていなかったと思いますが、以前から決まっていた仕事ですし、泣きながら散歩してお世話していた事を想い出します・・・。

でも、私の気持ちを察して頂いて「報告書はなくても良いから」とか「早く帰ってあげて!」と言って頂いて、引き受けておいたお世話をキャンセルして下さった方まで居られて、本当に感謝しています!

 

岐阜大学で診てもらっていなかったら後悔しただろうし、今でももっと自分を責めていたような気がしています・・・。